よくあるご質問

付加金の支払いを求める裁判を起こしたあと、使用者が未払額を支払った場合はどうなりますか?

昭和35年の最高裁判例では、第1審の裁判所が付加金の支払い命令を出す前に使用者が未払賃金を全額支払ってしまうと、第1審の裁判所は、付加金の支払いを命じることはできないと判断されていました(最高裁昭和35年3月11日)。

さらに、近時の最高裁判例では、第1審(地方裁判所)が付加金支払いを命ずる判決を出したあとであっても、控訴審(高等裁判所)の審理が終結する前(事実審の口頭弁論終結まで)に使用者が未払い割増賃金の支払いを完了した場合には、控訴審裁判所(高等裁判所)はもはや付加金の支払いを命じることができない、と判断されました(最高裁平成26年3月6日)。

最高裁の理屈によると、割増賃金を支払わなかった使用者が、裁判も終盤に来て「いよいよ敗色濃厚」と悟ってから渋々割増賃金を支払った場合でも、裁判所はもはや付加金の支払いを命じることができないというのです。

これでは、労基法違反に対する「制裁」としての付加金の実効性はほとんどなく、私は、個人的には最高裁の判断には疑問を持っています。