残業代の計算方法

残業代の計算方法を式で表すと、以下のようになります。

残業代 = 時間単価 × 残業した時間 × 割増率

以下、Aさんの例(モデルケース)について、実際に残業代を計算してみます。

モデルケース

  • 始業時刻は午前9時、終業時刻は午後5時、休憩時間は正午~午後1時。
     →したがって、1日の所定労働時間は7時間です。
    (変形労働時間制はとられていないものとします。)
  • 所定休日は土曜日、日曜日、国民の祝日、会社の指定する夏季休業日(3日間)、12月30日~1月3日。
    (なお、労基法で義務づけられている週1日の法定休日は「日曜日」であるとします。)
  • Aさんの月給は22万5000円
    (名目は全額「基本給」であり、他に手当は支給されていないものとします。)
  • Aさんは、平成28年4月1日(金)に午前9時から午後11時まで働き、4月3日(日)は休日出勤して、午前9時から午後8時まで働いた。
    (休憩はいずれの日についても正午~午後1時の1時間休憩したものとします。)
→ 4月1日(金)と4月3日(日)の残業代はいくらになるか?

⑴ 時間単価を計算する

モデルケースは月給制ですので、次の式に従って、「時間単価」を計算する必要があります。

時間単価 = 月によって定められた賃金 ÷ 月平均所定労働時間

モデルケースの場合、「月によって定められた賃金」は22万5000円です。
(※)毎月の給与の中に「固定残業代」が含まれているケースについては、「固定残業代について」をご覧下さい。

「月平均所定労働時間」は、年間所定労働日数を12で割って計算します。
年間所定労働日数は、所定労働日数×1日あたりの所定労働時間 で計算します。
モデルケースの場合、カレンダーで確認してみると、平成28年の所定労働日は241日となります(夏季休業3日は8月10日(水)、12日(金)、15日(月)だったと仮定します)。

そうすると、月平均所定労働時間は、以下の通りになります。

241日×7時間÷12ヶ月=140.59時間(小数第3位を切り上げ)

したがって、時間単価は、

225,000円÷140.59時間=1600円(小数点以下切り捨て)

となります。

⑵ 法定休日、時間外労働、深夜・早朝労働の時間を特定し、計算する

ひとくちに「残業」といっても、「法定休日の労働かどうか」、「所定労働時間を超えた残業にあたるかどうか」、「深夜・早朝(午後10時~午前5時)にあたっているか」によって割増率が異なりますので、計算にあたっては、これらを区別する必要があります。
法定休日(この場合は日曜日)でない日の労働と、法定休日の労働を区別して計算するのが分かりやすいので、以下、①法定休日でない日(4月1日)の残業代と、②法定休日(4月3日)の残業代に分けて、実際に計算してみましょう。

① 法定休日以外の残業代

Aさんは、平成28年4月1日(金)に午前9時から午後11時まで働きました。
まず、この日の残業代を計算してみます。

本来の終業時刻(午後5時)を超えて働いた6時間分は「残業」になります。このうち労基法の上限(1日8時間)を超える残業は「5時間分」で、この部分を「法外残業」といいます。いっぽう、労基法の上限内に収まっている1時間分は「法内残業」と言います。
また、午後10時から午前5時までは「深夜・早朝」労働にあたり、それ以外の時間帯よりも賃金が25%増となります。

17:00~18:00(1時間) 「法内残業」:「残業」ではあるが、労基法の制限内
18:00~23:00(5時間) 「法外残業」:労基法の制限を超える残業
22:00~23:00(1時間) 深夜・早朝労働

法内残業については、上で計算した「時間単価」がそのまま単価になります。「割増し」はありません。(なお、「1 残業代とは何か」では、説明を簡略化するために「残業代=労働基準法上の割増賃金」として説明しましたが、厳密に言えば、ここで出てくる「法内残業に対する賃金」は、「割増賃金」ではありません。)

1600円×1時間=1600円

いっぽう、法外残業については、25%の割増率が適用されます。(なお、就業規則などにより、それより高い割増率が定められている会社では、その「高い方」によります。)

1600円×5時間×1.25=10,000円

さらに、深夜・早朝労働については、25%分の割増賃金が発生します。

1600円×1時間×0.25=400円

以上をまとめると、4月1日(金)の残業代は以下のようになります。

1,600円+10,000円+400円=12,000円

(注)なお、ここでは基本的な計算方法を説明するため、4月1日(金)の1日だけに着目して法外残業を「5時間」と計算しましたが、実際には、法外残業には「1日8時間」を超える残業だけではなく、「1週間40時間」を超える残業も含まれます。その場合、「1日8時間を超える法外残業」と「1週間40時間を超える法外残業」を重複してカウントすることはできないので、それぞれで時間を計算したうえで、最後に、重複した部分を差し引くことになります。

② 法定休日の残業代

Aさんは、平成28年4月3日(日)に休日出勤して、午前9時から午後8時まで働きました(休憩を除き10時間労働したことになります)。
この日は法定休日ですので、賃金は「35%増し」で支払われなければなりません。
ただし、休日労働については、1日8時間を超えていたとしても、重ねて「割増し」になることはありません。

したがって、この日の労働に対して支払われるべき賃金は次のように計算します。

1,600円×10時間×1.35=21,600円

⑶ 割増率のまとめ

労基法で定められた割増率をまとめると、次のようになります。

5時~22時 深夜(22時~5時)
所定労働時間内の労働 割増なし 25%増し(原則)
法内残業 1日8時間以内 かつ 週40時間以内 割増なし 25%増し
法外残業 1日8時間超 または1週間40時間超 25%増し 25%増し
1ヶ月60時間超の時間外労働
50%増し 25%増し
法定休日労働 全ての時間 35%増し 25%増し

※当分の間、中小企業は除かれています。「中小企業」と「大企業」の区別については、業種・資本金・従業員数による基準が定められています。

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