歩合給・年俸制と残業代

残業代に関して、
 「年俸制の場合は、残業代はもらえない」
 「歩合給の場合は、残業代はもらえない」
と言われるのを聞くことがありますが、これは間違いです。

⑴ 年俸制と残業代

年俸制とは、年間の賃金総額や支給方法について、あらかじめ使用者と労働者が合意しておく制度のことです。
年俸制であっても、残業代は発生します。

たとえば、「年俸600万円」と契約して、これを12で割って1ヶ月につき50万円ずつ支給されているという場合、月給制で「月給50万円」を支給されている労働者の場合と同じように残業代を計算します。

なお、「年俸600万円」と契約して、その16分の1(37万5000円)が毎月支給され、夏と冬に16分の2(75万円)ずつ支払われているという場合であっても、残業代は「月額37万5000円」ではなく、年俸総額の12分の1、すなわち「月額50万円」を基礎にして計算します。この場合の夏と冬の支給分は、月給制の場合の「賞与」とは性質が異なるものと理解されるからです。

使用者から「年俸の中には時間外労働に対する手当も含まれている」と主張されることもありますが、そのような主張が成り立つためには、最低限、契約書や就業規則などによって、時間外手当として支払われている金額が他と明確に区分されていなければなりません。

つまり、単に「年俸600万円、ただし時間外手当を含む」ではダメで、「年俸600万円、ただしそのうち100万円は時間外手当として支給する」のような形で明確にされていなければならないということです。

なお、仮に「年俸制の従業員には時間外労働・深夜労働・休日労働の割増賃金は支給しない」などと契約書や就業規則に定められていたとしても、労働基準法に違反しており、無効になります。

⑵ 歩合給と年俸制

歩合給制の場合にも、使用者から「歩合給制だから残業代は発生しない」と主張される場合があります。
しかし、これも誤りです。

詳しい計算方法はやや複雑ですので省略しますが、歩合給の場合も時間外労働、深夜労働、休日労働をすれば、それに応じた割増賃金が発生します。

「歩合給の中に残業代が含まれている」という主張がされることもありますが、そのような主張が成り立つためには、やはり、「通常の労働時間に対する賃金」と「時間外労働に対する割増賃金」とがきちんと区別できるようになっていることが必要です。

なお、仮に「歩合給の従業員には時間外労働・深夜労働・休日労働の割増賃金は支給しない」などと契約書や就業規則に定められていたとしても、労働基準法に違反しており、無効であることは言うまでもありません。

法律に関するお悩みやトラブル解決は、プロにご相談を

tel_num

平日 9時30分~17時30分受付

メールフォームはこちら