執筆者 弁護士 友弘克幸(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所)
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退職後でも残業代請求は可能
退職後でも、未払い残業代を請求することはもちろん可能です。
時効には注意が必要
ただし、「時効」には注意が必要です。
つまり、残業代を請求する権利は、原則として、本来支払われるべき日の翌日から3年以上が経過してしまうと、「時効」によって消滅してしまいます(詳しくはこちら)。
在職期間が長かったような場合、アクションを起こすのが遅れることで、「時効」によって損をする場合がありますので、注意が必要です。
退職前に弁護士に相談することのメリット
また、退職後に残業代を請求しようと考えている場合であっても、退職する前に、弁護士に相談しておくことには大きなメリットがあります。
1点目として、弁護士のアドバイスにしたがって「証拠集め」をしておけば、あとで請求するときに役に立つことがあります。当たり前のことながら、通常、退職後は職場にある書類や資料にアクセスすることはできなくなりますので、在職中に弁護士のアドバイスを受けて、可能な範囲で必要な証拠集めをしておくことが有益な場合もあります。(残業代請求のために役立つ証拠について、詳しくはこちら)
2点目として、退職前に弁護士に相談しておけば、退職後、すみやかに残業代請求のアクションを起こすことができますので、解決までの時間が短くて済むことが多いです。(弁護士に依頼したあとの流れについて、詳しくはこちら)
3点目として、退職後は別の会社で働き始めることも多いと思いますが、新しい仕事を始めたばかりの時期は、新しい仕事に慣れるのが大変で、弁護士への相談・依頼などのためまとまった時間をとることが難しい可能性もあります。
弁護士相談は秘密厳守
弁護士は守秘義務を負っていますので、在職中に弁護士に相談しても、勤務先に知られることはありません。
「退職してから残業代を請求しよう」と考えている方であっても、「退職前に、弁護士への相談だけでもしておく」ことをおすすめします。
執筆者情報
1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。
大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。
以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。
2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。
2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。
2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。
また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。