執筆者 弁護士 友弘克幸(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所)
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残業代請求を弁護士に依頼していただくにあたって、あらかじめ、事件解決までの大まかな流れをイメージしておいていただくことは大切なことです。
以下、一般的なケースを念頭に、残業代請求のご依頼をいただいたあと、事件が解決するまでの大まかな流れをご説明します。
STEP1 | 内容証明郵便の発送(催告) |
弁護士名義の書面(内容証明郵便)で、会社に対して残業代を請求します。 通常、2週間~3週間後くらいに回答期限を設定します。 |
STEP2 | 会社からの回答 |
通常は、当方が設定した回答期限までに、何らかの回答があります。この段階で会社側に代理人(弁護士)が就任し、弁護士から回答がある場合もあります。 回答期限を過ぎても会社側から全く回答がない場合には、「STEP5」に進みます。 |
STEP3 | 会社との交渉 |
会社側からの回答内容を検討し、話し合いでの解決の可能性がありそうだと判断できた場合には、金額や支払い条件について、交渉を行います。 |
STEP4 | 示談の成立 |
交渉の結果、金額や支払い条件で折り合いが付けば、合意した内容を書類(合意書)にまとめます。 その後、定められた内容にしたがって全額の支払いを受けます。この段階で、弁護士に報酬をお支払いいただきます。 なお、交渉のみで解決できるケースでは、ご依頼から解決までの期間は、通常3~6か月程度です。 |
STEP5 | (交渉で解決できない場合)労働審判または訴訟の申立て |
会社から回答(STEP2)がない場合や、交渉(STEP3)で解決できなかった場合は、労働審判または訴訟を提起します。 労働審判と訴訟のいずれにするかは、事案の内容、会社側の態度、依頼者様のご意向など、さまざまな要素を考慮して決定することになります。 労働審判の場合は申立て~解決まで通常3か月程度、訴訟の場合は訴訟提起~解決まで通常6か月~1年程度を要することが多いです。 |
以上は一般的なケースを念頭に置いたものです。
「重要な証拠が雇い主の手元にあり、しかも、雇い主側が証拠を隠したり改ざんする恐れが高い」というケースでは、STEP1の前に、裁判所に「証拠保全の申し立て」を行って、まず証拠を確保してから交渉や労働審判・訴訟に進むケースもあります。
弁護士による無料相談では、どのような進め方が良いか、具体的な事情をうかがった上でご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
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執筆者情報
弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)
1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。
大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。
以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。
2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。
2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。
2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。
また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。