執筆者 弁護士 友弘克幸 (大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所)
割増賃金の割増率の一覧表(2023年4月以降)は、次のとおりです。
日中(5時~22時) | 深夜(22時~5時) | |
法定休日労働 | 35% | 60% |
時間外労働(月60時間までの部分) | 25% | 50% |
時間外労働(月60時間超の部分)※ | 50% | 75% |
※月60時間超の時間外労働に対する割増率(50%)については、2023年3月末までは中小企業への適用が猶予されていましたが、2023年4月以降は中小企業についても適用が始まりました。(詳しくはこちら。)
「法定休日労働」と「時間外労働」とは、規制として「別枠」になりますので、法定休日労働が1日8時間を超えても、割増率は35%のままで変わりません。
これに対し、「深夜労働」は、深夜という「時間帯」に着目した概念であるため、「休日労働」や「時間外労働」による割増と「深夜労働」による割増が、重複して適用されます。
つまり、休日労働が深夜に及んだ場合には、休日労働の割増率(35%)に深夜分の割増率(25%)が加算され、割増率は60%となります(労働基準法施行規則20条2項)。
同様に、時間外労働が深夜に及んだ場合には、時間外労働の割増率(25%)に深夜分の割増率(25%)が加算され、割増率は50%となります。時間外労働のうち、月60時間超の部分については50%+25%で75%となります(労基法施行規則20条1項)。
1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。
大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。
以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。
2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。
2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。
2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。
また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。