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よくあるご質問

Q法定休日に労働した場合の残業代(割増賃金)とは?

執筆者 弁護士 友弘克幸(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所

法定休日とは?

労働基準法(労基法)では、使用者は労働者に、原則として、毎週少なくとも1回の「休日」を与えなければならないとされています(労基法35条1項)。律で、労働者に必ず与えるべきものとめられている休日なので、これを「法定休日(ほうていきゅうじつ)」と呼びます。

これに対して、法律上の義務ではないけれど、会社が任意に「休日」を定めている場合があります。これを「法定外休日(ほうていがいきゅうじつ)」と呼びます。

週休2日制の場合には、2日のうちどちらかが「法定休日」で、もう1日は「法定外休日」だということになります。

法定休日の特定

法定休日と法定外休日とは、いずれも労働契約で定められた休日(所定休日)という点では同じですが、法律的な意味合いが異なります。このため、労働契約においては所定休日のみならず法定休日を特定することが望ましいとされています(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発第150号)。
労働契約書や就業規則で「土曜日と日曜日を所定休日とする。なお、日曜日を法定休日とする」などと書かれているケースでは悩む必要はないのですが、実際には、土日のうちいずれが法定休日かよく分からないという場合がよくあります。
このような場合の処理について、佐々木宗啓ほか編著「類型別労働関係訴訟の実務・改訂版1」p139では、「週休2日制がとられている場合において、その2日のうちいずれをもって法定休日とするか就業規則や労働契約で定められていないときは、使用者が法定休日を明示又は黙示の一方的意思表示により指定することになる」とされています。
なお、裁判例の中には、毎週土曜日と日曜日を休日とする週休2日制が採用されていたものの、土曜日と日曜日のいずれを法定休日とするかについての定めは置かれていない事案について、「被告(会社側)は、暦週において後順に位置する土曜日と解すべきである旨を主張するが、むしろ、週休2日制の成り立ちにかんがみ、旧来からの休日である日曜日が法定休日であると解するのが一般的な社会通念に合致すると考えられることからすれば、他に特段の事情の認められない本件においては、日曜日をもって法定休日とする黙示的な定めがあったものと解するのが相当と言うべきである」と判断したものもあります(HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド事件・東京地裁平成23年12月27日労働判例1044号5頁)。

 

法定休日は、「⚪月⚪日」がまるまる休みでなければダメ

休「日」というくらいなので、法定休日といえるためには、原則として、暦(こよみ)の上で、ある日の午前0時から翌日の午前0時までがまるまる休みである必要があります
たとえば、4月1日の午前9時に仕事が終わって、4月2日午前9時から再び働き始めたという場合、時間の長さだけみれば24時間の休みをとれていますが、これでは「法定休日」を与えたことにはなりません。カレンダーでみると、「4月1日も仕事、4月2日も仕事」となってしまうからです。

 

法定休日に働いた場合の割増賃金

法定休日は、労働者が仕事からまる1日解放され、心身の休息を得るための大切な日です。
このため、使用者が法定休日に労働者を労働させた場合には、通常よりも高く計算した賃金(割増賃金)を支払わなければならないと定められています(労基法37条1項)。
具体的には、法定休日に労働した場合、労働者は使用者に対して、通常の賃金よりも35%の割増率で割り増しした賃金(割増賃金)の支払いを求めることができます。
通常の賃金の賃金単価が1時間2000円なのであれば、法定休日労働の場合には、1時間につき、2000円×1.35=2700円の割増賃金が発生することになります。

 

法定休日労働が深夜に及んだ場合の割増賃金

法定休日の労働が深夜(午後10時~午前5時)に及んだ場合には、法定休日労働の割増率(35%)に加えて、深夜労働に対する割増率(25%)も加算されることになります。
たとえば、通常の賃金の賃金単価が1時間2000円であれば、法定休日労働の賃金は1時間あたり2000円×1.35=2700円となり、深夜に及んだ場合には1時間あたり2000円×1.6=3200円の割増賃金が発生します。

 

法定休日前の労働が法定休日に及んだ場合/法定休日の勤務が翌日に及んだ場合の割増賃金

法定休日の前日の勤務が延長されて、そのまま法定休日の午前0時以降に及んだ場合には、法定休日の午前0時から午後12時までの時間帯に労働した労働時間については、法定休日労働に対する割増賃金(通常賃金の1.35倍)が発生します。
逆に、法定休日の勤務が延長されて翌日の午前0時以降に及んだ場合には、24時までは法定休日労働ですが、午前0時以降は法定休日労働とはなりません。
ちょっとややこしく感じられたかもしれませんが、要するに、「法定休日労働の割増賃金(1.35倍)が発生するのは、あくまで法定休日の午前0時~午後12時の労働に対してだけ」と覚えていただけるとよいでしょう。

 

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。

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