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よくあるご質問

Q残業代の時効が5年になるのはいつからですか?

執筆者 弁護士 友弘克幸(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所

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残業代請求には「時効」がある

未払い残業代を請求する権利には、3年の「時効」があります

(請求する権利が消滅してしまうので、正確には「消滅時効(しょうめつじこう)」と言います。)

時効によって権利が消滅する前に、時効の完成を防ぐための措置(例:裁判の提起、労働審判の申立てなど)をとる必要があります。

 

時効の起算点は、通常「支払期日の翌日」

残業代の時効の起算点は、通常、「雇用契約で定められた支給日の翌日」となります(佐々木宗啓ほか編著「類型別労働関係訴訟の実務・改訂版Ⅰ」262頁)。

たとえば、残業代を「15日締め・当月25日払い」で支払うとしている会社であれば、2020年5月15日締め分は、支払期日が2020年5月25日です。通常、給料日といっても労働者は午前0時ぴったりに給料を受け取れるわけではなく、給料日の会社の営業開始時刻(多くは午前8時とか午前9時などでしょう)以降に受け取ったり、あるいは銀行に振り込んでもらえるわけですから、民法140条本文の「初日不算入の原則」が適用されます。したがって、時効そのものは2020年5月26日から進行するわけです。

(民法140条)

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

なお、就業規則などで、残業代以外の賃金(基本給など)と残業代の支給日が異なっている場合もあるため、注意が必要です。

 

残業代の時効は「3年」だが、将来的には「5年」になる

2020年4月1日以降に支払期日が到来する残業代については、時効が「3年」となりました(ちなみに、それ以前は「2年」でした。)。

しかし、労働基準法115条の条文を見ると、賃金の時効は「5年」だと書かれています。

これはいったいどういうことでしょうか?

実は、2020年4月1日以降は、賃金の時効について、労働基準法115条では「5年」とされているのですが、143条3項という別の条文で、「115条では5年と書いてあるけど、『当分の間』は3年ということにします」と定められているのです。

したがって、「当分の間」が終わり、143条3項という条文が削除されれば、115条に書かれているとおり、時効は「5年」に延びることになります。

 

残業代の時効が「5年」になる時期は現時点では不明

では、いつから5年になるのか?

「当分の間」というのは、具体的にいつまで続くのか?

それは、残念ながら現時点(2023年4月17日)で、筆者にも全くわかりません

ただ、2020年3月に労基法が改正され、時効がそれまでの「2年」から「当面3年」と改正されたときの取り決め(令和2年3月31日法律第13号・附則第3条)によれば、改正後の規定については2025年(令和7年)4月以降に「検討を加え、必要がある場合には必要な措置を講ずる」ということになっています(条文は以下の通り)。

(検討)
第3条 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
したがって、最も早く法律が改正される場合でも、「時効が5年」になるのは、2025年4月以降になるだろう、と考えています。

 

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。

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