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よくあるご質問

Q研修に参加した時間は労働時間になる?

執筆者 弁護士 友弘克幸

(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所

研修に参加した時間も労働時間にあたる場合がある

所定労働時間外に行われる研修に参加した時間については、参加の強制がなく、自由参加のものであれば、労働時間とはならないと考えられています(昭和26年1月20日基収2875号、平成11年3月31日基発168号)。

しかし、使用者による明示または黙示の指示に基づいて参加した場合や、参加が事実上強制されているといえる場合(不参加にペナルティが科される場合など)には、研修に参加した時間は労働時間にあたると考えられます。

また、研修の内容と業務との関連性が強いほど、労働時間性を肯定する事情となります

なお、労働安全衛生法59条・60条の安全衛生教育については、所定労働時間内に行うべきものとされているため、法定時間外に行われた場合には割増賃金を支払わなければならないとする行政解釈が示されています(昭和47年9月18日基発602号)。

 

研修の労働時間制に関する裁判例

長崎地裁令和3年2月26日判決・労働経済判例速報2455号24頁(ダイレックス事件)

被告の親会社が、関連会社の社員を対象として開催していた「セミナー」について、親会社のPB商品の説明が主な内容であったこと、被告本社または被告店舗で実施されていたこと、受講料などは被告が負担していたことなどから「被告の業務との関連性が認められる」としたうえ、原告は上司らから「正社員になるための要件である」として受講するよう言われていたとして、原告が「自由参加です」とのメールを受信していたとしても、それへの参加は事実上強制されていたとして、セミナーに参加した時間を労働時間と認めた。

大阪地裁令和2年3月3日判決(労働判例1233号47頁)

原告(労働者)の技術向上などの目的で開かれていた「勉強会」への出席について、仮に原告が参加せず,その後も技術が身に付かないままであれば「原告の賃金や賞与の査定」、ひいては「従業員としての地位」にもかかわるのは明らかであったなどとして、出席した時間を労働時間と認めた。

 

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

 

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