新大阪・淀川区で残業代請求のご相談なら西宮原法律事務所へ
残業代などの賃金(退職手当を除く)の請求権については、かつては時効が「2年」と定められていました(旧労働基準法115条)。
しかし、2020年(令和2年)4月1日に「労働基準法の一部を改正する法律」(令和2年法律第13号)が施行され、2020年4月1日以降は、「5年」と改められました。
ところが!
「いきなり2年から5年に延ばすと(特に雇い主側の)対応が困難だろう」という政策的な配慮から、2020年4月1日にすぐに「5年」とすることは見送られ、当面は「3年」とすることにされてしまいました(新労働基準法143条3項)。
「当面は」というのがいつまで続くのかはよく分かりません。
いずれにしても、将来、法律が改正されない限りは、「未払い残業代などの賃金の時効は3年」ということになります。
次に、具体的に「いつの賃金から」3年になるのかを説明します。
「労働基準法の一部を改正する法律」(令和2年法律第13号)附則2条2項で、次のように定められています。
「なお従前の例による」というのは、改正前の労基法115条(時効2年)が適用されるという意味です。
したがって、新法の施行日前(2020年3月31日まで)に支払期日が到来していたものについては「2年」であり、新法の施行日(2020年4月1日)以降に支払期日が到来したものについては「3年」となります。
たとえば、「毎月末締め、翌月25日払い」の会社で勤めている方の場合なら、次のようになります。
2020年2月末締め分 |
→ | 2020年3月25日が支払期日 | → | 時効は「2年」 |
2020年3月末締め分 | → | 2020年4月25日が支払期日 | → | 時効は「3年」 |
なお、以上の適用関係は、その労働者がいつ働き始めたのか(雇用契約の始期)とは無関係です。
2020年4月以降に働き始めた人はもちろんのこと、2020年3月以前(たとえば2019年)から同じ会社で働いていた人であっても、「2020年4月1日以降に支払期日が到来した賃金」については、「時効は3年」となります。
2020年3月31日までに支払期日が到来していた賃金 | 時効は「2年」 |
---|---|
2020年4月1日以降に支払期日が到来した賃金 | 時効は「3年」 |
※この文章は、2023(令和5年)3月1日現在の内容です。