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よくあるご質問

Q残業代請求は自分でできる?

執筆者 弁護士 友弘克幸(西宮原法律事務所)

【大阪弁護士会所属。「残業代請求専門サイト」を運営しています。】

残業代請求は自分でもできる。ただし、デメリット・リスクも多い。

未払い残業代を会社に請求する際に、必ず弁護士を立てる必要はあるのでしょうか?

結論から言えば、弁護士を立てず、「自分で」残業代請求をすることも、「理屈上は」可能です

ただし、弁護士を立てないことによる「デメリットやリスク」があることも現実です。

 

たとえば、「自分の理想の家を建てたい」と思ったとき、皆さんはどうされるでしょうか?

多くの方は、建築士に自分の希望を伝えて設計図を書いてもらい、実際の工事は建設会社や、信頼できる大工さんにお願いするのではないでしょうか。なぜなら、安全で快適な建物を設計したり、建築したりするには、やはり専門的な知識・技術が不可欠だからです

未払い残業代請求も、それと似ています

「餅は餅屋」という言葉があるとおり、プロが「仕事」として費用をいただくには、それなりに理由があります。

自分で残業代請求をするかどうかは、単に「弁護士費用がかからない」という表面的なメリットだけではなく、「自分で請求する場合にはどのようなデメリットやリスクがあるのか」を十分に理解したうえで、慎重に判断していただきたいと思います。

 

なお、この記事では、会社に対して直接、残業代の支払いを請求するということを前提に、「弁護士を立てる」場合と「弁護士を立てずに自分でする」場合との比較という観点から解説してゆきます。

「労働基準監督署への申告」はその性質上、会社に対して直接支払いを請求する行為とは異なるため、この記事では触れません。そのような方法が有効かどうかを知りたい方は、別の記事をお読みください。

 

残業代請求をするには何が必要なのか

残業代請求を「自分でする」場合には、以下のような残業代請求のプロセス全体を理解しておくことが必要になります。

① 未払い残業代の金額を計算する

② 会社に、残業代の支払いを請求する

③ 会社と交渉する

④ (交渉で解決できなかった場合)法的措置(労働審判・訴訟など)をとる

⑤ 会社から支払いを受ける

以下、それぞれの段階に即して、「自分でする」場合に具体的に何をしなければならいのか、どのような点に注意しなければならないのか、ということを解説します。

 

① 未払い残業代の金額を計算する

残業代(割増賃金)の計算方法は、労働基準法労働基準法施行規則の条文に書かれています。

このため、未払い残業代を正確に計算するためには、これらの法・規則の条文を正確に理解しておくことが必要になります。

「基礎賃金」「月平均所定労働時間」「時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金率」などの概念について正確に理解しておかなければ、正確に未払い残業代の計算をすることはできません。

たとえば、「基礎賃金」一つとってみても、「賃金は基本給のみ(手当なし)」というシンプルなケースであればあまり悩む必要はないのですが、実際には、基本給以外に様々な「手当」が支給されている場合が多くあります。

これらの「手当」をどう扱うのかによって計算結果が大きく変わってしまうことがあるため、適切な判断をする必要があります。(場合によっては、契約書や就業規則の内容も確認して検討する必要があります。)

 

② 会社に、残業代の請求を行う

未払い残業代の金額を計算できたら、いよいよ、会社に請求を行います。

会社に残業代請求を行うときには、「配達証明付き内容証明郵便」で行うのが大原則です。

内容証明郵便の書式には決まった約束事がありますので、その約束事を守って文書を作成する必要があります。

また、内容証明郵便はどの郵便局からでも出せるわけではないことにも注意が必要です。

 

③ 会社と交渉する

会社が未払いを認めてすぐに支払ってくれればよいのですが、実際にはそう簡単なケースばかりではありません。

むしろ、会社はあれやこれやと理屈を述べて、未払いであることを認めようとしないケースのほうが多いくらいです。

会社側の反論として「よくある」ものだけでも、次のような様々な反論があります。

「残業を命じたことはない(勝手に残業しただけ)」

「残業代は⚪⚪手当として支給済みである」(いわゆる固定残業代の主張)

管理職なのだから残業代は発生しない」

「残業代は歩合給に含まれていて支給済み」

「年俸制だから残業代は出ない」

変形労働時間制が適用される」

「裁量労働制なので残業代は出ない」 etc

 

実は、残業代請求をする上で、一番大変なのがこの「会社との交渉」のプロセスです。

なぜなら、会社の反論の誤りを的確に指摘するためには、労働基準法の条文はもちろんのこと、残業代に関する数多くの裁判例(多くは最高裁判所の判例)についても理解しておく必要があります。比喩的な表現をすれば、「戦うためには武器が必要」なのです。

しかも、残業代の不払い期間が長い場合には、残業代が「時効」で消滅するのを防ぐために、会社への請求から遅くとも6ヶ月以内に、交渉をまとめてしまうか、交渉を打ち切って④の労働審判・訴訟に切り替えるといった措置をとらなければならないケースがあります。

会社と戦うだけではなく、「時間」とも戦わなければならないのです。

なお、会社との交渉がうまくいかない場合には、簡易裁判所の「民事調停」労働局の「あっせん」を利用することも考えられます。しかし、会社側には調停・あっせんに応じる義務がないため、これらの手続をとったとしても、結局は④へと進まざるをえないケースが多いため、ここでは詳しい解説は省略します。

 

④ (交渉が決裂した場合)法的措置(労働審判・訴訟など)をとる

労働審判を起こすためには、「労働審判申立書」などの書類を作成して裁判所に提出しなければなりません。訴状の場合であれば「訴状」などの書類です。

これらの書類には、残業代請求の「権利」がなぜ発生するのか、ということを根拠づける事実を整理して記載しなければなりません。

また、当然ながら、訴状・労働審判申立書の提出は、あくまで「スタート」に過ぎません。

実際に訴訟や労働審判が始まれば、会社から様々な反論が出てきますから、それらに的確に反論しなければなりません。

また、ほとんどのケースでは、理屈以前の問題として、そもそも実際に残業していたかどうかなど、「前提となる事実関係」そのものに争いがありますから、必要な証拠を提出し、立証(証明)を尽くす必要もあります。

訴訟や労働審判という手続きで良い解決(裁判所による判決の場合もあれば、「和解」による解決もあります)を実現するためには、それ相応の手間がかかるわけです。

 

まとめ(自分で請求するデメリット)

いかがでしょうか。

ざっと全体像をご説明しましたが、「自分ならできそう」と思われたでしょうか。

あるいは、「かなり大変そうだな」と思われたでしょうか。

まとめると、弁護士を立てない(自分で請求する)ことによるデメリットとしては、

・十分な知識がないと、残業代の計算を間違えるリスクがある(①)

・内容証明郵便の作成・発送などの労力がかかる(②)

・会社との交渉で、会社の主張に的確に反論できないことで損をする可能性がある(③)

・交渉が決裂した場合、自分で裁判所に提出する書類を作成したり、訴訟・労働審判で適切な主張・立証をする必要がある(④)

といった点が挙げられます。

 

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

実は、さきほど「自分で請求するデメリット」として書いたことは、そのまま、「弁護士を立てることのメリット」の裏返しになっています。

弁護士を立てることのメリットとしては、以下のことが挙げられます。

・未払い残業代の計算を正確にしてもらえる(①)

・内容証明郵便の作成・発送などもすべて任せることができる(②)

・会社との交渉で、会社の主張に的確に反論してもらえる(③)

・交渉が決裂した場合でも、スムーズに訴訟・労働審判での解決に進むことができる(④)

弁護士は通常、司法試験に合格したあと、弁護士になるまでに、最高裁判所に属する組織である司法研修所というところで、1年~2年にもわたって、法律実務家となるための専門的なトレーニングを受けています。さらに、弁護士として働き始めたあとも、日々、法律の改正や最新の判例を研究するなどして、研鑽を重ねています。

もちろん、代理人(弁護士)を付けずに自分で交渉や訴訟・労働審判をしたからといって、必ず不利な解決になるとまではいいません。しかし、代理人(弁護士)を立てることには、その費用に見合うだけの大きなメリットがあることも、お分かりいただけるのではないでしょうか。

なお、上の説明では省きましたが、代理人(弁護士)を立てることによるメリットとしては、「会社と直接やりとりしなくて済む」ということも挙げられます。会社とやりとりすること自体をストレスに感じる方にとっては、この点も無視できないメリットといえるでしょう。

さらに、実例は多くはありませんが、会社が残業代に関する証拠を改ざんする恐れがある場合には、「証拠保全の申立て」という裁判所の手続きを使う必要がありますが(証拠保全について、詳しくは別の記事をお読みください)、この手続きは非常に専門性が高いため、弁護士に依頼せずにこの申し立てを行うことは実際上難しいだろうと思います。

 

執筆者情報

弁護士 友弘 克幸(ともひろ かつゆき)

1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。

大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。

以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。

2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。

2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。

2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。

また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。

 

 

 

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