執筆者 弁護士 友弘克幸(大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所)
退職代行の依頼もできます
法律上、労働者には「退職の自由」があります(民法627条1項、628条)。
法律のルールにのっとって、会社に「〇月〇日付けで退職する」と一方的に通知すれば、それだけで雇用契約終了の効果が生じ、会社は退職を拒否できません。
とはいえ、ご自身で会社とやり取りするのはつらい、という方も多くいらっしゃいますので、当事務所では、弁護士が代理人として退職の意思を会社に伝えること(いわゆる「退職代行」)のご依頼もお受けしています。
退職代行業者にできることには制限がある
ところで、ネット上では、「退職代行サービス」などをうたっている企業も多くあります。
しかし、弁護士法72条の規定により、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で「法律事務」を取り扱うことは、原則禁止されています。
このため、業者は「法律事務」にあたる「会社との交渉」を本人に代わって行うことはできません。
業者ができるのは、せいぜい、退職の意思を、本人の「使者」として会社に伝えるというところまでです。その範囲を超えて、会社と「交渉」をすることはできません。
弁護士でなければできないことがある
退職を妨害してくるような会社は、いわゆる「ブラック企業」であることが多く、退職しようとすると「損害賠償請求をする」などと脅してくるところもあります。弁護士資格を有しない業者による「退職代行サービス」では、会社との「交渉」ができません。もちろん、実際に損害賠償請求をされたり、裁判を起こされた場合には、対応することが不可能です。
また、そのような「ブラック企業」の場合、多額の未払い残業代があるというケースが少なくありませんが、「退職代行サービス」企業では、本人を代理して未払い残業代請求をすることもできません。
弁護士に退職代行を依頼していただければ、「退職」を実現することは当然として、あわせて、未払い残業代の請求もすることができます。
当事務所ではそのような事案も取り扱っていますので(一例がこちら)、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談・お問い合わせは、残業代請求専門サイトから電話(0120-300-994)、メールフォームまたはLINEで受け付けています。
執筆者情報
1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。
大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。
以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。
2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。
2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。
2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。
また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。