執筆者 弁護士 友弘克幸 (大阪弁護士会所属/西宮原法律事務所)
労基法の規制では「週」が重要な意味を持つ
使用者は、労働者に、休憩時間を除いて、1週間に40時間を超えて労働させてはなりません(労基法32条1項。ただし、一部の事業場については特例として44時間。くわしくはこちら。)。
1週間に40時間(または44時間)を超えて労働させた場合には、使用者は割増賃金(いわゆる残業代)を支払わなければならないとされています(労基法37条)。
また、使用者は、労働者に、原則として、「毎週少なくとも1回(1日)の休日」を与えなければなりません(労基法35条1項)。ここでいう「毎週」というのは、「1週間ごとに」という意味です。
この休日(法定休日)に労働させた場合も、使用者は、割増賃金を支払わなければなりません(くわしくはこちら)。
このように、労基法は、「1週間」を一つのかたまりとして見て、労働時間の上限や休日の付与についての規制をしています。
1週間は何曜日から始まる?
ところで、労基法にいう「週」とは、何曜日から始まるのでしょうか?
これを確定しなければ、「週40時間(44時間)」の規制や法定休日の規制に反していないかどうか、正しく判断することができませんし、残業代の計算も正確にすることができないため、問題となります。
結論から言うと、「1週間」の始まりについては、
① 就業規則などに「何曜日」と定めがあればそれによる
② 就業規則などに定めがなければ、「日曜日」から始まる
と解釈されています(昭和63年1月1日基発1号)。
②の理由・・・ふだん生活している中では「週の始まりは何曜日か」と意識することはほとんどありませんが、暦(こよみ)の上では、1週間は「日曜日」から始まるとされているからです。
(実際、市販されている一般的なカレンダーを見ると、この記事の冒頭の画像のように、週の始まりは日曜日になっています。)
執筆者情報
1979年大阪生まれ、京都大学法学部卒業。
大学在学中に司法試験に合格し、司法修習生を経て、2004年に弁護士登録(大阪弁護士会)。
以来、不当解雇・残業代請求など、主に労働者側で多数の労働事件を担当している。
2018年4月、労働調査会より「よくわかる未払い残業代請求のキホン」を出版。
2019年10月~2021年10月、大阪労働者弁護団の事務局長を務める。
2020年4月から5月にかけて、5回にわたり、朝日新聞の「コロナQ&A」コーナーにて、コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって生じる労働問題に関してコメントが掲載された。
また、「労働法について多くの方に知ってもらいたい」との思いから、一般の方々、労働組合・社会保険労務士・大学生等に向けて、労働法や「働き方改革」について多数の講演を行っている。